北京:最大のeコマース市場の本拠地

YCP Solidianceのレポート「アジアの上位eコマース都市」の調査において、北京はアジアで最もeコマースが発達した都市の1つであることが示されました。

2019 年 05 月 , by

中国の首都であり、世界最大のeコマース市場の本拠地である北京は、インフラ、商品の安全性、消費者保護、市場開拓を目的とした越境取引の促進に積極的に取り組み、投資を行ってきました。北京は現在、JD.comや他の巨大デジタル企業など、業界の名だたる企業の本拠地であり、各社は変化の著しいデジタルコマース市場において世界規模で新たな成功事例を作り出すべく、しのぎを削っています。同国の中央政府もまた、より透明性を持った、包括的な運用ガイドラインを提供することにより、eコマース業界の成長に貢献しています。

弊社の最新のレポート「アジアのeEコマース上位都市」の調査において、北京はシンガポール、バンコク、東京をはじめとする他の多く都市と並んで、アジアにおいてeコマースが最も発達した都市の1つであることが示されました。このレポートは、この地域におけるeコマース環境の重要性と、世界の動向への迅速な適応力を解明することを目的としています。ここでの「eコマース都市」は、eコマースエコシステムを構成する、相互接続されたインフラを備えた都市として定義されます。

北京のeコマース市場の成長は引き続き堅調であり、78%のインターネット普及率、85%のスマートフォン普及率、68%のデジタルバンキングの普及率に支えられ、小売売上高全体の3分の1を占めると見込まれています。プラットフォームと決済ソリューションが組み合わされることで、特に小規模なティア3都市におけるeコマースの成長が促進されるものと期待されています。さらに、中国の消費者は新しいテクノロジーのアイデアを積極的に受け入れる傾向があり、配送時間や利便性の向上が大きく期待できる新しい購買体験を望んでいます。

北京の中央政府は、消費者保護を目的とした、オンラインベンダー向けのより透明性を持った包括的な運用ガイドラインを提供することで、eコマース業界の成長に貢献しています。小規模ベンダーはWeChatのような多機能プラットフォームを通じてオンラインB2C取引の大半を行っているので、日々のオンライン取引の大部分は、アイデンティティや登録状況が曖昧な小規模ベンダーによって行われています。規制が最近進展し、レビューを削除したり、意図的な注文のキャンセルを行うベンダーの悪質行為や、強制的なベンダー登録制度、不正商品販売時の罰則など、消費者の権利保護がもたらされました。

しかし、北京のeコマース産業は、国外のブランドやオンラインサービスから隔離された、政府の障壁の境界内で孤立した環境において発達しているために、競争の激しさという点では、依然として不十分な状況下にあります。こうした状況が、中国の消費者にダイレクトに対応可能なプラットフォームやサービスを提供し、現在の市場を支配する国内大手企業を育成してきました。欧米の考え方を基にした市場セグメンテーションモデルに重点を置き、ローカライズに乏しいアプローチでは、北京固有のインサイトや顧客のモチベーションを捉えることは難しいといえます。

弊社の調査によると、eコマース産業は2018年には驚異の2.86兆ドルを記録し、2022年にはさらに6兆ドルにまで拡大すると見込まれており、世界中で急激な成長を続けています。さらに、アジア太平洋地域は2018年には経済成長率が35%、eコマースの小売売上高は1.8兆米ドルに達し、2023年までに世界のeコマースのシェアの4分の1を獲得するという目標に向かう明確なリーダーとなりました。

このレポートは、スタートアップエコシステムが潜在力を最大限に引き出し、北京やその他のグローバル都市がeコマースのエコシステムを改善できるような、5つの重要な要素から構成されるフレームワークを提供しています。このフレームワークには、「安定し、予測可能な規制環境」「豊富な人材」「市場への準備と堅牢なインフラ」「事業拡大を可能とする資金」「革新的なアイデアを強化するためのグローバルな文化」という5つの要素が含まれています。

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