「国6」排出基準に備える中国

現在、プラグインはNEVの販売量全体の約25%を占めており、今後数年間でシェアを拡大させると予想されています。

2019 年 06 月 , by

Automotive WorldのSpecial Report「自動車の排出規制は達成可能か?」によると、欧州連合(EU)の基準に基づいてモデル化された基準が、まもなく最大の自動車市場である中国で導入されることになります。「国6」の排出基準は、2020年1月から市場で導入され、一酸化炭素は1 kg/kmから0.7 kg/kmへと削減されます。 2023年1月に導入が予定されている「国6b」基準では、さらに0.5kg/kmに削減されます。

自動車メーカーに対する規制は、中国のガス排出への取り組みの広範な計画のほんの一部に過ぎません。それでも、人々の生活を改善させるには時間を要します。YCP SolidianceのシニアパートナーであるNicholas Pechetは、「排出削減は全面的に行われることは明らかです。窒素酸化物とPMは、中国において車両が排出する主要な大気汚染物質ですが、それぞれ40%と33%が削減目標とされています」と説明しました。

2013年には58日間記録された発がん性PM2.5の排出が、2018年には18日のみになるなど、都市部の状況は改善されましたが、政府はさらに多くの成果を求めています。自動車は中国の大気汚染の原因として相当な割合を占めており、メーカーは基準変更への対応に向けて、準備を整える必要があります。「中国の外国資本のJVと国内企業の両方の自動車メーカーの複数のモデルは、すでに「国6」に対応しています」とPechetは説明しました。具体例としては吉利、長安汽車、上海汽車が挙げられます。

新エネルギー車(NEV)

「現在、プラグインはNEVの販売量全体の約25%を占めており、今後数年間でシェアは増えると予想されています」とPechetは述べています。  「一方、48Vマイルドハイブリッドは、車両のCO2排出量を13%削減し、21%を実現すると予想されます。そのため、「国5」準拠車両にマイルドハイブリッドシステムを適合させるだけでは、「国6」の適合には不十分です」とPechetは指摘します。VWは中国で2021年までに完全電動自動車を生産すると発表しました。しかし、政府は最近、EVへの補助金を5万元から2万5000元に削減し、2020年までに完全に撤廃することを決定しました。自動車メーカーにとっては難しいチャレンジであるといえます。

中国の石炭依存は依然として問題であり、2018年の石炭発電量は6%増加して4.9兆km/hに達し、「中国は2030年までに石炭への依存度を50%に減らし、今日のニーズを再生可能エネルギーに置き換えることにより、エネルギーミックスの改善に取り組んでいます。しかし、これは車両の排出規制とは独立して行われています」(Pechet)。

大型車向けの規制

大型車に対する規制、すなわち「国6」は、中国の一部地域において今年の夏に導入され、「国6a」のもとでは、基準を満たさないモデルは市場への参入が禁止されることになります。政府は、2020年の年末までに、少なくとも90%の遵守率を目指すと発表しており、100万台を超える旧式のディーゼル燃料トラックは、北京周辺地域の道路から排除される可能性があります。 「国6b」の完全導入は、2023年7月までに予定されています。

国際クリーン交通委員会で強調されたように、世界の排出量に対する中国の影響は、非常に重要なものといえます。「国6」はディーゼル微粒子除去フィルターのより徹底した使用を要求します。これは、新たに製造されるトラックの3分の2が、2021年までにすすが出ない構造となることを意味しています。中国が何も行動に出なければ、この比率は50%にとどまるものと考えられます。

この記事は、2019年6月のAutomotive WorldのSpecial Reportでも掲載されました。

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