eコマースの成長率において、他のASEAN諸国を凌駕するマレーシア

マレーシアは、地域や世界のeコマース企業が関心を抱くのも納得がいく、独自のポジションを築いています。

2017 年 03 月 , by

東南アジアの他の市場と比較して、マレーシアの電子小売り市場は規模でいえば最下層に位置していますが、その成長率は他のeコマース諸国を大きく上回ると予想されています。弊社のレポート「マレーシアの電子小売り市場:地域の成長ストーリーを創り出す原動力」によると、マレーシアのeコマースは、2016-2021年の間に23.7%成長し、他の近隣諸国と比較して最も高い成長率を示すとみられています。

電子小売り市場としての規模は大きくはありませんが、マレーシアは地域および世界のeコマース企業が関心を抱くのに十分な、非常にユニークなポジションを築いているといえます。マレーシアは、インターネット普及率、インフラ、クレジットカードおよびデビットカードの所有率に関して、恵まれたデジタル環境にある一方で、プログラマーの賃金、インターネット通信コストや物流全般のコストは依然として低いレベルにあり、電子小売り産業における投資先として考慮すると、このバランスの良さは魅力といえます。これは、例えばシンガポールのようなプレミアム市場とは対照的です。

近隣のシンガポールに多くのグローバル企業の本社が集まるなか、このバランスに優れたマレーシアには、企業がインドネシアなどの大規模な市場へ向かう前に、安定した多文化環境でコンセプトを調査するプラットフォーム市場としての役割が期待できます。

マレーシアがASEANのeコマース市場の玄関口に

ASEAN諸国は現在、ほとんどの産業においてeコマースの開発と利用を進めています。さらに、eコマースは第4次産業革命で重要な役割を果たし、世界中のビジネスと貿易の主要な形態として変革を遂げます。こうした状況下で、Commodity Global Trade Sdn Bhd(CGTSB)とTianjin Commodity Exchange(BOCE)は、「協力に関する覚書」と「国際地域越境ECサービスプロバイダー協力」に関する協定に署名しました。この協定を通じて、CGTSBは、マレーシアおよび他のASEAN諸国における取引プラットフォームサービスプロバイダーとしてBOCEを指名しました。このプラットフォームにより、マレーシアとASEANの企業は、中国の一帯一路構想(BRI)の活用を求めるBOCEのグローバルプラットフォームの支援を受け、安全、安心、効率的なデジタルプラットフォームを通じて中国市場に参入できるようになります。さらに、この協定により、マレーシアが中国外でこのプラットフォームを利用する世界で5番目の国となり、ASEANの玄関口として期待されています。

2020年に20%成長を目指す

マレーシア政府は、eコマース産業の年間成長率に関して、2017年の14.3%から、2020年には20%を達成することを見込んでいます。国際貿易産業省のOng Kian Ming副大臣も、政府は2020年までにeコマース産業のGDPへの貢献が1000億リンギット以上となるよう目指していると述べています。政府は、eコマースとデジタルエコノミーが、マレーシアの技術進歩とイノベーションをもとにした新たな機会を生み出すとして、この目標の達成に自信を持っています。

マレーシア政府は、国家eコマース戦略ロードマップと全国eコマース協議会を通じて、eコマースの成長と発展を追い求め続けるとみられています。2018年12月までに、デジタル自由貿易区イニシアチブに参加した中小企業は5000社に達します。加えて、同省はまた、より多くの取引や商圏の拡大を実現し、可能性に富んだ恩恵を得るために、マレーシアの貿易戦略と計画を他の地域および国際市場の動向と一致させることも目指しています。

弊社のレポート「マレーシアの電子小売り市場:地域の成長ストーリーを創り出す原動力」完全版で、より詳細なインサイトを入手してください。

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