若年層が増加するも熟練労働者の育成に苦戦するミャンマー

ミャンマーの若年層は、より良い雇用機会を確保し、グローバルブランドを手にし、デジタルの世界へとつながるという、長きにわたり待ち望んでいた夢を追いかけています。

2018 年 03 月 , by Naithy Cyriac

ミャンマーは数十年にわたる孤立を経て、急速に変革を遂げており、同国の労働市場を含む政治・経済環境に変化が生じています。弊社のレポート「次なる成長の波:ミャンマーにおける消費者主義の高まり」によると、ミャンマーの1人当たりGDPは急速なペースで成長しており、2022年までに2211米ドルに達すると予測されています。それに加えて、ミャンマーの人口の36%が10-29歳であり、次いで30-49歳が27%を占めることから、若くて意欲的な労働力を抱えている国であることが示されています。しかし、世界で最も急成長を遂げている経済の1つとして台頭している同国は、依然として高度な熟練労働者の確保という大きな課題に直面しています。

有望な若い労働力

長年にわたり経済的に孤立し世界のエコシステムから疎外されていた時期を経て、ミャンマーの若年層は、より良い雇用機会を確保し、グローバルブランドを手にし、デジタルの世界につながり、経済への影響を加速させるという、長きにわたり待ち望んでいた夢を追いかけています。

その結果、ミャンマーの人口において最も高い割合を占める25-29歳の年齢層は、2014年の国勢調査前の5年間で、国内のより都市化が進んだ地域へと移住しています。全年齢層の約43.7%が、より都市化された地域へと州や地方域を越えて移動する主な理由として、雇用あるいは求職を挙げました。この人口移動は、より地理的に集中する工業地帯や経済特区で顕著にみられ、経済発展と大きく相関しています。

熟練労働者・有資格者の不足

有望な若い労働力を多く抱えているにもかかわらず、ミャンマーは製造業、建設業、観光業を含む複数の主要分野への熟練労働者の供給に依然として苦労しています。同国はより多くの投資を誘致し始めているため、外国投資家に対して技能を示すためにも、これまで以上に多くの有資格労働者が必要となっています。企業は熟練労働者不足に悩まされており、この問題を解決するために長期的な計画を立てる必要があります。

ミャンマーの国家技能基準局(NSSA)は、19種類の仕事を基礎として4種の技能レベルを有する熟練労働者向けに多くの証明書を発行しました。同国の労働・移民・人口相によると、2017-2018会計年度に、労働者の技能認定のために、NSSAから5000以上の証明書が発行されています。5855人の労働者のうち合計5164人も、国際基準に従って証明書を取得しました。成功率が88%に達したこの数値は、NSSAの予定目標値を上回っています。

熟練労働者の大幅な不足は、ミャンマーの高い中退率の結果であると考えられています。国連児童基金(ユニセフ)によると、ミャンマーでは100万人以上の子どもが学校に通っておらず、国内の子どもの5人に1人は初等教育より進んだ教育を受けておらず、適切な年齢で初等教育を終えた生徒は70%未満にとどまっています。

同省は、ミャンマー経済の発展を促進するために、ミャンマーが天然資源に基づく事業から人的資源に基づく事業へと経済を転換していく重要性を認識しています。労働者は、近隣諸国の他の労働者と競争できるように訓練を受ける必要があります。このため、技能証明書は、労働者が賃金差別と戦ううえで助けとなることが期待されています。

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