ベトナムで有望なフィンテック産業

ベトナムのフィンテック市場は、2020年までに売上高78億米ドルにまで成長するとみられています。

2019 年 03 月 , by

金融テクノロジー企業、つまりフィンテックは、世界中で旋風を巻き起こしたというのが大方の見方であるといえます。フィンテックは、多くの金融商品の消費者に対して新しい習慣や嗜好を作り出し、金融業界を混乱させてきました。

このフィンテックのトレンドはベトナムの金融業界でもみられます。同国におけるフィンテックは、依然として人口の半分以上を占める、銀行口座を持たない人々に対して簡単な代替決済方法を提供するものであり、そうした人々に手を差し伸べる存在として機会が存在すると考えられています。フィンテックはまた、人々に特別な価値を提供する技術であるため、金融機関がサービスを浸透させるために活用されています。ベトナムのフィンテック市場の取引額は、2020年までに78億米ドルに達する見通しです。

「ベトナムでフィンテックの成長の可能性を解き放つ」と題した弊社のレポートでは、ベトナムの金融業界でフィンテックによる変革が進むきっかけとなった、いくつかの要因を取り上げています。2020年までに全ての決済において現金取引を減らし、銀行口座を持たない人々を全人口のわずか30%にまで減らす目標を掲げる政府の計画は、キャッシュレス社会に向かう道を開く手段として、望まれています。ほとんどの従来の金融サービスで直面してきた主要な問題点を減らすフィンテックの能力は、銀行口座を持たない層が金融サービスを試すきっかけを作るものと期待されています。

ベトナム全土でのスマートフォンやインターネットの普及は、テクノロジーの進歩と相まって、国内のフィンテックの急速な成長を支えてきました。低価格の4Gサービスやスマートフォンが導入されることで、デジタル決済やその他のフィンテックサービスが提供されています。

弊社のレポート「ベトナムでフィンテックの成長の可能性を解き放つ」によると、様々なフィンテック製品セグメントの中で、デジタル決済ソリューションが、ベトナム市場をリードしています。デジタル決済は12.8%の成長率で、2025年までにフィンテック市場の70%を占めるようになるとみられています。また、投資や企業活動においてフィンテック業界をリードしています。マクロ環境や業界内の様々な要因により、フィンテック市場は現在、より競争が激しい状態となっています。政府のフィンテック導入計画に基づき、デジタル決済をサポートするための規制イニシアチブも推進されています。

ベトナムのGDP成長率は6.3%に達する見通しであり、利便性や経費をかけないライフスタイルに対する需要が高い、裕福な人口が増加しています。デジタルパーソナルファイナンスは、こうした層にソリューションを提供するものであり、結果として、デジタルパーソナルファイナンスソリューションと市場の望ましい成長をもたらします。ベトナムで銀行口座を持たない人々もまた、パーソナルファイナンスのソリューションのターゲットとして想定されます。金融サービスの導入を容易にする技術革新と改善が進むことで、フィンテックが銀行口座を持たない人々の市場を獲得することが可能となります。弊社のレポートによると、パーソナルファイナンスセグメントは、31.2%の成長率に達すると予測されています。

ベトナムの従来の企業金融サービスは、複数の市場の隙間や業界内のセグメントを捉えられていません。ベトナムのフィンテックは、ベトナム経済および成長において重要な役割を果たす地元のSMEやスタートアップに資金を提供しています。こうした動きにより、企業金融はベトナムで最も急成長しているフィンテックセグメントとなり、成長率は35.9%に達すると予測されています。

ベトナムのフィンテック産業は非常に有望に映るかもしれませんが、フィンテック企業は市場において、一連の困難かつ重要な障壁に直面しています。規制が明確さを欠くために、政府がフィンテックをサポートする道筋を作っているにもかかわらず、ベトナムの多くのフィンテックやeコマースのイノベーションの妨げとなっています。多くの規制の枠組みは不明瞭で具体性を欠くため、スタートアップは規模の拡大や投資家からの資金調達を躊躇しています。スタートアップやフィンテック企業も資金調達ができず、著名な多国籍企業と競争することができません。加えて、経営者の知識不足やステークホルダーからの信頼性が欠如している問題は、ベトナムのフィンテック企業が市場を支配する上でも対処すべき事柄です。これら全ての障害が解消されて初めて、ベトナムのフィンテック業界は、その成長力を最大限に引き出すことができます。

弊社のレポート「ベトナムでフィンテックの成長の可能性を解き放つ」から、詳細なインサイトを入手してください。

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