インドネシアのスマートシティとネットゼロ・エミッション

インドネシアでは、新たに設定した気候変動に関する目標の達成に、スマートシティ化が重要な役割を果たしています。

2021 年 08 月 , by Alexandra Santiago

気候変動の影響が世界的に懸念される中、インドネシアは20217月、国連気候変動枠組条約に最新版のNDCNationally Determined Contribution:国が決定する貢献)を提出し、気候変動に関する目標を更新しました。同国は、政府や主要なエネルギー関係者等との広範な協議に基づき、2060年までにネットゼロ・エミッションを達成することを新たな目標として設定しました。

 

インドネシアの新たな気候目標

インドネシアの環境林業大臣は、「The Jakarta Globe」の記事の中で、新たな気候目標を達成するために、国内の豊かな熱帯雨林を保全することが一つの足掛かりになると述べました。インドネシアには約17,000の島々があり、生態系の多様さから、国連の生物多様性条約によって「メガダイバーシティ」国家の一つに数えられています。

 

インドネシアの最新版NDCでは、温室効果ガスの排出量について、国際的な投資家や専門家からの追加支援を得られた場合、2030年までに2010年比で最大41%削減することを目標としています。この目標は、1ギガトンもの二酸化炭素を大気から取り除くことに相当します。

 

スマートシティとの連携

現在、インドネシアの資源の大半が新型コロナウイルス対策に使用されている中で、この気候目標の先行きは厳しい状況です。しかし、インドネシアの人々がよりクリーンで環境に優しいライフスタイルを確立するために、市政府レベルでいくつかの取り組みが行われています。

 

YCPSolidianceのホワイトペーパー「インドネシアは2045年までに『100 Smart Cities』計画を達成できるか」では、インドネシアにおけるスマートシティ化がいくつかの重要な目的に基づいていることを紹介しています。その一つが「スマート環境」で、ITを利用した天然資源の管理と、再生可能エネルギーの開発促進を目的としています。現在、ジャカルタとバンドンのスマートシティでは、市内に緑地を増やしたり、電気自動車の利用を促進したり、建物を新たに建設する際は環境への配慮を求めたりと、二酸化炭素排出量の削減に向けた取り組みが行われています。

 

こうした取り組みを継続的に進めるためにはテクノロジーが大きな役割を果たすため、各スマートシティは目標実現のための協力者を求めています。都市の廃棄物管理、自動車、太陽エネルギーなどに関するグリーン・ソリューションを促進するためには、再生可能エネルギー、機械学習、デジタルアプリベースのソリューションなど、各業界のプレーヤーが必要です。

 

インドネシアにおいて、スマートシティ化は、国全体の気候目標を達成する上で極めて重要な役割を果たしています。インドネシアの人々が環境に配慮した生活を優先するように意識を変えていくことが、企業がよりクリーンで持続可能な取り組みを進め、ネットゼロ・エミッションを達成することに繋がります。

 

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