貿易パートナーシップの恩恵を受けるベトナムの製造業

世界中の多くのグローバルな貿易パートナーとの協定締結を試みるベトナムにおいて得られる重要なメリットが存在します。

2019 年 01 月 , by

ベトナムは、東南アジア地域において劇的に発展を遂げている国です。ベトナムは実質的にも経済成長を達成しており、ベトナムの今年のGDP成長率は6.8%に達すると予測されています。これは、この地域では2番目となる成長率であり、7.0%の成長率を示す隣国カンボジアに続く数値です。また、ベトナムは他国の輸出が減速するなか、東南アジア地域で今年の第2四半期に輸出額の増加を示した唯一の国である点も注目に値します。

この劇的な成長は、堅調な内需、多額の外国直接投資、および輸出志向型の製造業に支えられており、今後もこの傾向は続くと予測されています。ベトナム政府による現在の経済改革は、同国における民間投資を促進し、国内のビジネス環境を改善することに成功しています。

豊富な農産物の生産量と安定したサービス業が、前四半期のベトナムのGDP成長に貢献していますが、外国直接投資と並んで製造業も、引き続き経済成長の主な原動力となっています。 2019年の最初の2か月で、海外直接投資は約26億米ドルへと大幅に増加しました。これらの投資が大きく貢献していますが、製造業は依然として、地域および世界の投資家から最も注目を集めています。

製造業は、内需だけでなく世界的な需要も満たしながら、ベトナム経済において重要な役割を果たしています。ベトナムは、製造業をベースとした輸出指向型の経済としての地位を確立しています。ベトナムは絶え間なく積極的に輸出産業に取り組むことを通して貿易額を増やし、GDPの規模は2倍になりました。このため、ベトナムはこの地域で最も輸出依存度の高い経済の1つでもあるともいえます。

輸出品製造業におけるベトナムのサクセスストーリーは、他国との貿易協定を確立するために政府が取った過去のイニシアチブと関係しています。ベトナムは、輸入と輸出の関税を引き下げ、撤廃するために、十数件以上の自由貿易協定に署名しました。最も注目すべき自由貿易協定はASEAN自由貿易協定(AFTA)であり、これは東南アジア地域内で多国間の経済関係を発展させることを目指しています。ベトナムはまた、来るべき環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)およびEU・ベトナム自由貿易協定(EVFTA)を通じて、ASEAN地域外の他のグローバル貿易パートナーとの経済統合を検討しています。

Manufacturing in Vietnam

私たちのレポート、「TPPをはじめとする貿易協定の下でのベトナム製造業の利点」では、世界中の多くの貿易相手国との協定締結を進めるベトナムにおいて、享受できる重要なメリットが存在することを示しています。第一に、貿易パートナーシップにより、全ての輸入業者と輸出業者が、輸出入の収益性の低下の原因となる関税率の引き下げを回避することが可能となります。また、日本、中国、欧州連合諸国などの貿易パートナーとの取引額の拡大にも貢献します。さらなる利点は、ベトナムの製造部門の成長は、生産規模の拡大と産業深化をもたらし、同国の労働生産性向上につながるということです。

ただし、貿易パートナーを確保するだけではベトナムにとって十分ではないことは注意すべきです。政府はさらに、製造業の生産性と収益性を高めることができる、原材料業界や機械業界などのすそ野産業の戦略的な発展を目指す必要があります。また、インフラは国内の製造の効率化に欠かせないため、ベトナムは国内のインフラの問題にも取り組む必要があります。

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