マレーシアのハラール産業の概要 

YCP Solidianceの最新レポートでは、マレーシアのハラール産業の現状と、金融・食品分野におけるハラール産業発展の可能性について分析しています。

2022 年 09 月 , by Alexandra Santiago

マレーシアのハラール産業は、GDPの8.1%にのぼると見られ、同国で最も堅調な産業の一つです。Statistaによると、2020年の調査でマレーシアの総人口の約63.5%がイスラム教徒であり、ハラール市場はマレーシアのビジネスと経済成長にとって極めて重要な分野とされています。 

世界がポストパンデミック時代に移行し、デジタルトランスフォーメーションの加速と消費者のニーズや行動の変化が進む中、マレーシアのハラール産業が成長するためには、こうした変化を受け入れ、官民のパートナーシップを通じて成長分野に注力し、業務最適化と生産性向上のためのデジタルソリューションを導入することが重要です。 

マレーシアのハラール産業の概要 
イスラム経済の動向について発信するSalaam Gatewayが毎年発表している「世界イスラム経済レポート」では、「イスラム経済」を、イスラム法と倫理の影響を受ける主要製品とサービスからなる分野と定義しています。YCP SolidianceマレーシアオフィスのマネージャーAdeline OoiとアソシエイトBenjamin Yongは、ハラール産業を大きく4つに分類しています。 

マレーシアは、イスラム金融、ハラール食品、ムスリムフレンドリーな観光、メディアとレクリエーションの項目で高い評価を受け、9年連続で世界1位となりました。また、医薬品は2位、化粧品・ファッションでも9位にランクインしており、マレーシアの政府・企業が業界の発展に力を入れていることが分かります。このことは、企業が市場に参入し、成功するためのより多くの機会を提供することに繋がります。 

マレーシアのハラール市場の成長分野と提言 
マレーシアは、世界最大規模の産業であるイスラム金融とハラール食品分野の発展に注力しており、現地や海外のデベロッパーといくつかのパートナーシップを締結しています。 

イスラム金融分野では、2021年にイスラム金融資産が9%、総資産が20%増加しました。新型コロナウイルスの流行による消費者行動の変化から、フィンテックが有望な主要成長分野であることは明白です。金融機関は現在、遠隔操作や非接触型サービスの開発を模索しています。その一例が、イスラム法に則った倫理的なクラウドファンディングに注力するマレーシア初のフィンテック企業、Ethis社です。マレーシアにおけるフィンテック全体の成長とデジタル化の継続的な加速は、ハラール市場への参入や業界内で独自領域の開拓を目指す企業に市場機会を提供しています。 

ハラール食品に関しては、国内のハラール産業を統括する連邦政府機関であるハラール産業開発公社(HDC)が、ガイドラインを満たしたハラールマレーシア工業団地(HALMAS)として14の戦略的地域を指定しました。工業団地事業者がハラールパーク開発に関するHDCの要件を満たしてHALMASに認定されると、貿易・投資促進などの優遇措置を受けることができます。現在、HALMASは約20万エーカーの敷地を有しており、ケロッグアジア、Cargill Palm、F&N Dairies Manufacturing、コカ・コーラボトラーズ等の多国籍企業が進出しています。

マレーシアのハラール産業は、2020年以降10年間の有意義な社会経済的発展を実現するための国家開発計画「第12次マレーシア計画(12MP)」でも重点分野の一つに指定されています。マレーシア政府は、2025年までにハラール産業の輸出収入を560億リンギットに拡大することを目指しており、この分野に関わるビジネスを支援するための強固なエコシステムを構築しています。 


マレーシアは、世界イスラム経済レポートで上位にランクインしており、政府もこの分野のさらなる発展に取り組んでいることから、国内外の企業にとって、ハラールビジネスに関する格好の投資先となっています。YCP SolidianceのマネージャーAdeline Ooiは、この好機を最大限に活かすために、次のような提言をしています。 

YCP Solidianceは、マレーシア企業・外資系企業による同国のハラール産業への参入を支援します。幅広い業界における市場調査のノウハウ、エンドツーエンドのFAサービスの経験、そして強力な現地チームを通じて、ハラール産業での成功に向けて、事業の戦略立案や多角化、市場参入などの知見を提供します。 

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