2022年後半に向けたインドネシアのコンシューマービジネス業界への提言

2022年のインドネシアの個人消費と、企業が同国の経済成長を活用する方法について、YCP Solidianceが調査しました。

2022 年 08 月 , by Alexandra Santiago

インドネシアの消費者信頼感指数は、2022年上半期に記録した高い水準からは下落したものの、同年7月も引き続き123.2と好調です。しかし、さまざまな業種で世界的な課題が発生している状況を受け、この数値は今後変動していくことが予想されます。

インドネシアの企業は、ポストパンデミックの経済下で戦略を策定するにあたって、不測の事態に備えて、より大局的な視点に立つ必要があります。消費者信頼感は楽観圏であるとはいえ、就業機会や所得水準といった経済状況に対する期待のほうが大きく、企業はこれらの数字をマクロな視点で捉えて対応していく必要があります。


世界的なサプライチェーンの混乱がインドネシアの輸出状況に非常に良い影響を与えていることから、インドネシア政府は、2022年末までに420兆IDRもの追加収入を得ると見られています。また、国内でも第2四半期のイド・アル=フィトルの祝日による消費促進、新型コロナウイルスのパンデミックに対する規制緩和や海外旅行再開などによって小売業の売上が増加しており、これらの要因が今後も数年にわたって同国の経済成長を牽引する見込みです。

この消費者意識の向上は、インドネシアのビジネスにどのような影響を与えるでしょうか。各界の専門家は、政府からの後押しを踏まえてもなお注意が必要であると見ており、インドネシアの企業はこのことに留意する必要があります。

2022年のインドネシアにおける個人消費の概観
金融情報の分析を行うフィッチ・ソリューションズは、インドネシアの2022年の実質的な家計消費について、消費意欲の高まりによって2021年の推定4.1%増からさらに勢いを増して7.6%増加し、総額9兆9,000億IDR(6,920億米ドル)になると予測しています。

経済状況の改善に加えて、インドネシア政府もまた、市場の適正な維持、インフレの抑制、国民の購買力の維持、ビジネス環境の改善を目的として助成制度を設けています。

しかし、2022年中盤のインフレ率の上昇は消費者から注目を集めており、国内の7月のインフレ率は前月の4.35%から4.94%に上昇しました。政府はこの数値について、コアインフレ率(3%以下)よりもかなり高い水準であると消費者やステークホルダーに説明しているものの、企業はすでに、消費者の不安を和らげ、信頼を保つための準備を始めています。

インドネシアのビジネスに対する提言
インドネシアの輸出の増加は、短期的にはプラスの影響をもたらしています。ムーディーズは、世界的な商品価格の高騰が、インドネシアが世界最大の輸出国となっているパーム油や石炭、また世界的な主要生産国となっている金属などの輸出産業に利益をもたらす可能性があると報告しました。

また、インドネシアを拠点とするYCP Solidianceのパートナー、Septian Waluyanは、インドネシアのビジネスの今後の見通しと、長期的な予測・計画に向けた対策について考察しています。Waluyanは、コンシューマービジネスは2022年も全体としてプラス成長が見込まれているとした上で、次のように述べました。「近年オンライン販売がトレンドとなっていることで、運輸業・倉庫業などの分野は高成長を遂げてきましたが、今後人々の移動が増えていく中で、この成長は落ち着いていくことが見込まれます」

Waluyanはまた、接客業、外食産業、観光業などのマイナス成長となっていた分野について、「BPSのデータから、これらの産業が昨年と比べて回復傾向にあることが読み取れます。この変化は、企業にとって、雇用を増やし、昨年の損失を取り戻すための追い風となります」と述べており、今後、消費者信頼感の高まりを受けて状況が改善すると予測しています。

しかし、国内で消費意欲が高まる一方で、国外の要因は世界的情勢の影響を受けて常に変化しているので、2022年以降安定した経済成長を実現するためには確実な戦略で備える必要があり、リスクがないとは言えません。Waluyanは次のように指摘しています。「不確実性に対処するためには、ビジネスの多角化が有効です。インドネシアの富裕層の消費力に支えられる高所得層の市場だけでなく、低所得層の市場にも焦点を当てることで、世界的な情勢の変動に対応できるようになります」

Waluyanはまた、世界的な資源不足への新たな対応策を模索するために、企業が他社や公的機関とのパートナーシップを構築することの重要性を強調し、製造業を例に以下のように述べました。「商品価格の上昇によって利益が生じることは、現在インドネシアで課題となっている下流セクターに目を向けるきっかけにもなります」


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