東南アジアのファッション業界におけるオンライン化の拡大

東南アジアは、ファッションブランドにとって、成長し、eコマースや持続可能性に対する革新的なアイデアを生み出すための最新のハブとなっています。

2021 年 07 月 , by Alexandra Santiago

新型コロナウイルスの影響で世界中の経済が縮小しているにもかかわらず、東南アジアのファッション業界は目覚ましい回復を遂げています。他の多くの業界が危機に陥り、いまだに回復に苦しんでいる中で、東南アジアのファッション業界は一体どのようにして生き残ったのでしょうか。

 

その答えは、とりわけ東南アジア地域で顕著に見られた、ファッション業界の急速なフルデジタルシフトにあります。電子商取引は、マスマーケットブランドとラグジュアリーブランド両方にとって重要な収益源となっています。この分野における2021年の市場規模は180億ドルと予測されていますが、テクノロジー、持続可能性、ロジスティクスへの新たな投資や進歩によって、さらなる成長が期待されています。

 

進化するeコマース市場

ロックダウンによって実店舗が営業停止に追い込まれる中、eコマースに目を向けた小売ブランドは、東南アジアで最も人気のあるオンラインショッピングプラットフォームである「Lazada」や「Shopee」などのプラットフォームで大規模なセールを行うことで大成功を収めました。ブルームバーグの調査によると、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、タイの調査対象者の86%がこれらのオンラインセールに参加し、そのうち43%がコロナ禍に初めてオンラインで商品を購入したとのことです。


高級ブランドもeコマースブームに便乗しています。Marketing in Asiaは、iPrice Groupの調査を引用して、ルイ・ヴィトンのような高級ファッションブランドのオンラインでの関心が高まっていることを指摘しています。ルイ・ヴィトンのオンライン検索数はパンデミック中に555%という驚異的な伸びを示しており、検索数の増加が利益にも繋がっています。東南アジア全域でビジネスを展開するシンガポールの電子小売業者Zaloraは、過去1年間で高級なバッグ、靴、財布の売上が著しく増加しました。

 

多くのアパレルブランドは、デジタルシフトのために、オンラインでのオペレーションを強化し、迅速な配信と魅力的なコンテンツを通じて消費者を満足させるために予算を割り振りました。 ライブストリーミングやインフルエンサーによる商品紹介、割引はすべて、昨今のeコマースでは当たり前のこととなっています。 そのため、ウルトラファストファッションの台頭に伴って急速に進化するこの業界にキャッチアップするために、各アパレルブランドは、さらにステップアップした新しく魅力的な価値を提供する必要があります。


地球にもデジタルにも優しい未来を

消費者は今、eコマースだけでなく、"意味のある"ファッションを求めています。Zalora社が2020年末に発表した「Trender Report」では、消費者の90%がファッションブランドにサステナブルな要素を求めるようになり、60%がこれらのアイテムに対してより高い金額を支払うことを望んでいると述べています。

 

このような新しい消費者の意向によって、ファッション業界のサプライチェーン全体で、地球に優しい革新的な手段にスポットライトが当てられています。その一つが、サステナブルな方法で製造された素材を使用した衣料品です。CSR Journalによると、Laudes Foundation社は、東南アジア諸国の稲わらやバナナの茎などの農業残渣から天然繊維の生地を作る研究をしています。この研究が成功すれば、新しい天然生地の生産によって、業界全体の化石燃料への依存度を下げることができるでしょう。

 

東南アジアのファッション業界におけるサスティナビリティの発展は、テクノロジーによってさらに加速させることができます。例えば、タイのアパレルブランド「Pomelo」のeコマースでの取り組みが挙げられます。タイ全域で販売されているこのブランドは現在、より統合された持続可能な物流システムを構築するために、AIの機械学習とクラウドコンピューティングの実験を行っているとTechwire Asiaは報じています。

 

このような取り組みは、ファッション業界の発展を後押しするものです。DXを加速させ、さらにはASEAN地域におけるCO2排出量の削減にも役立つでしょう。アパレル企業はこの急速な進化に対応するために、デジタル技術と持続可能性のためのソリューションに焦点を当てる必要があります。

 

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