コロナ禍における中国ロボット産業の動向

新型コロナウイルスの影響を受け、企業はロボットソリューションを活用した新しい働き方を促進しています

2021 年 04 月 , by Alexandra Santiago

コロナ禍にもかかわらず、中国のロボット産業は堅調に成長しています。同業界の総市場規模は2019年には86.8億米ドルに達すると予測されており、2014年から2019年までの年平均成長率は21%を記録しました。2020年はパンデミックの影響で世界的に資金調達が難しい状況にも関わらず、この分野では、サービス・特殊サービス用ロボットが短期・中期的に、産業用ロボットが長期的にプラス成長に働くと見られています。

ホワイトペーパー 「新型コロナウイルスが中国のロボット産業に与えた影響 ―リスク、機会、その教訓-」では、YCP Solidianceのプロフェッショナルが、直近の中国ロボット工学分野におけるさまざまな影響や成功例について論じています。

パンデミックが生んだ自動化ロボットの需要

新型コロナウイルスの影響で、自動化ロボットによるソリューションの活用がさまざまな業界で加速しています。自動化システムを必要としている分野の例としては、オンラインコラボレーションツール、追跡・検知システム、衛生・ヘルスケアなどが挙げられます。他にも、衛生管理に自動化を必要とする航空会社や輸送機関の分野でその必要性が高まっています。すでに活用されている自動化システムの例としては、ボタンに触れる必要のない音声認識エレベーターや、対面接客をせずに料理の注文が可能なレストラン用モバイルアプリなどがあります。

ロボット工学の長期的な可能性を示すもの

ロボット工学は、新型コロナウイルスの流行下で物理的な接触の機会を減らすだけでなく、オペレーションの効率化やユーザーエクスペリエンス全体の向上にも役立ちます。この機会に自動化技術を導入した公的機関や民間企業は、ロボットソリューションの必要性を理解し、その活用方法に精通することで、新たなイノベーションの時代を牽引し、長期的な景気回復の原動力となることが期待されています。パンデミック後には状況が好転し、ロボット産業は今後35年で大きく成長すると予測されています。

企業向けのロボットソリューション

ロボットによる自動化は、企業にとって単純ながらも重要な機能を果たし、効率化とコスト削減を通じて、業務上および肉体的に困難な作業の改善に役立ちます。パンデミックのピーク時にロボットソリューションを活用した企業は、特に製造業、接客業、ヘルスケアの分野でその恩恵を受けています。

·       製造業では、パンデミックの最中に労働力不足に陥り、生産ラインに影響が出ました。しかしAI技術と自動化を駆使した産業用ロボットなどのロボットソリューションを活用することで、生産能力の向上による高い生産性に加えて、人材の有効活用による全体的なコスト削減を実現しました。

·       接客業界では、昨年、旅行の制限によってホテルが大きな打撃を受け、売上は限られたものとなりました。企業はサービスロボットを導入し、感染症のリスクを軽減することで旅行者に安心感を与えるとともに、ロボットと接する新鮮さを感じさせています。

·       医療機関では、新型コロナウイルスの患者が体制を圧迫しているため、現場のスタッフが不足しています。この分野では、スタッフを補助し、労働力不足を補うために、消毒、巡回、モニタリングが可能なサービス用ロボットを使用しました。これによって、患者とスタッフの接触が減り、感染リスクが低下したほか、過重労働のスタッフの負担も軽減されました。

ロボット工学をビジネスに導入するための推奨戦略や、成功を収めた企業のその他のケーススタディについては、 こちらからレポートをダウンロードしてご覧ください。

他のインサイトを見る

レポート一覧を見る

メールアドレスを登録すると、アジア市場に関する最新情報およびホワイトペーパーを受け取ることができます