インドの自動車研究開発産業におけるスキルの習得

自動車研究開発におけるテクノロジーの進歩と消費者の期待が拡大する中、インドの自動車エンジニアにとって新しいスキルの習得が優先事項となっています。

2021 年 07 月 , by Alexandra Santiago

インドの自動車産業は、新型コロナウイルスの影響で2020年に売上が26%低下したにもかかわらず、前向きな見通しが立てられています。AutoCar India社によると、インドでは、20216月に、乗用車、二輪車、三輪自動車の分野で累計1,200万台が販売され、SUVの販売台数は同年第1四半期に比べて320%以上増加しました。

 

しかし、業界の回復を支えているのは自動車の販売台数だけではありません。インドのハイテク自動車研究開発市場も成長の道を辿っています。Eletimesによると、自動車用電子機器の売上高は、2020年の60億米ドルから2027年には180億米ドルになり、年率17%の増加が見込まれています。

 

テクノロジーとデジタルソリューションは、世界の自動車産業の現状を変革し始めています。特に昨今のプレミアムカーの購入者は、自動車に最新の安全機能や通信機能を求めています。このため、自動車エンジニアのスキルアップが急務となっており、自動車業界はこのニーズを資金面で優先させる必要があります。

 

自動車産業の変化

世界の自動車産業が、よりデジタルベースのサプライチェーンフレームワークにシフトしている中、インドの自動車産業が世界市場での競争力を維持するためには、同様にテクノロジーによる技術力の向上が必要となります。

 

インドの自動車産業における研究開発は、エンジニアのスキルアップのための優先分野となっています。その理由は、テスラのような欧米の自動車メーカーの台頭により、世界の自動車産業が伝統的な製造業から離れ、自動化と革新を優先するようになったためです。自動車業界のエンジニアは、AI、機械学習、ロボット工学、IoTの新しい技術への精通が求められていますが、新型コロナウイルスによる外出規制により、これらの新技術の教育はさらに困難になっています。

 

また、Continental AGVolvoBoschMercedes-Benzなど、インドに大規模な研究開発・製造施設を持つグローバルな自動車メーカーは、優秀なエンジニアを求めており、競争は熾烈を極めています。

 

自動車産業の成長機会

インドには、Industry 4.0のグローバルスタンダードに対応した人材を確保しようとする団体や自動車関連のスタートアップ企業の強力なネットワークがあります。特にAutomotive Skills Development CouncilASDC)は、現地のエンジニアやメカニックにデジタルトレーニングを実施するためのオンライン専用モジュールの開発に取り組んでいます。

 

自動車関連企業もまた、従業員の教育を支援する取り組みを行っています。Maruti SuzukiToyotaVolvoContinental AGなどは、社内にトレーニングセンターを設けており、従業員に新たなスキルを教育しています。スタートアップ企業も独自の方法でそのギャップを埋める試みを実施しています。例えば、現地のスタートアップ企業であるMachenn Innovations社は、自動車工学や航空宇宙工学の分野で高い収入を得られる企業に就職を希望している工学系の学生を対象に、トレーニングをオンラインで提供しています。

 

オンライントレーニングによって、業界のステークホルダーから労働者に向けて、国の自動車産業を未来へと導くための方法が提供されます。 現在、オンラインクラス、雇用ポータル、スキル構築のビジネスパートナーに需要があり、業界の進化の加速が期待されています。

 

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