ウィズ・アフターコロナ時代における中国の消費変化と企業経営のダイナミックな調整

新型コロナウイルスの流行により、中国消費者の生活方式や消費方式は大きく変化してきました。企業がウィズ・アフターコロナ時代に中国で生き抜くためには、消費市場のトレンドを常に正確に把握し、経営戦略を調整することが重要です。

2023 年 03 月 , by 荒井 直樹
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2022年以降、コロナ禍再燃の影響を受け、中国消費市場は弱含みで推移しています。2022年12月、中国政府は新型コロナウイルス感染対策を全面的に緩和しました。しかし、中国各地で感染拡大が続いており、消費者が外出を控えたり、感染が一巡すると外出が急増したりと、消費市場に対する見通しが難しい状況が続いています。

消費市場の低迷は、消費者の所得減少と将来に対する不安が主因となっています。アンケート調査によると、回答者の約6割が「収入が減った」と回答、また一級都市の回答者の7割が「過去6か月間に収入が減った」と回答しました。加えて、コロナ禍再燃により、消費者の将来に対する不安も募っています。消費者信頼指数は2022年4月に86.7まで落ち込み(前年比-28.6%)、その後10月まで90を下回りつづけました。

消費選択の傾向としては、単純に倹約志向が強化されたというよりは、より理性的になっていると言えます。消費者は旅行、オフライン娯楽、ラグジュアリー、美容・美容医療など非必需品に対する支出を大幅に減らし、コロナ予防用製品、米・小麦粉・油、牛乳・生鮮食品など生活必需品の支出に対する比率を増やしています。また、コロナ禍前に比べ、明確な消費ニーズがある場合、消費者はさまざまなチャネルを使って商品情報を収集し、価格を十分に比較した上で購入する傾向が強くなりました。

消費チャネルとしては、外出制限に伴いオンラインチャネルによる買い物が増えています。消費者はチャネルを特性によって使い分けており、ECチャネルのトラフィックはアリババやJDを中心とした伝統的なECプラットフォームから、Douyin、Kuaishou、Pinduoduoなどの新興ECプラットフォームに分散しています。中でも、DouyinやKuaishouに代表されるライブストリーミングECはシェアを急拡大しました。

ECプラットフォームのトラフィック分散トレンド
ECのトラフィックがJD、TMALLからDouyin、Kuaishou、PDDに分散しています。


3年に及ぶ新型コロナウイルス流行を受けて、中国消費者の生活様式や消費方式は大きく変化してきました。企業が中国でウィズ・アフターコロナ時代を生き抜くためには、消費市場のトレンドを常に正確に把握し、経営戦略を調整することが重要です。当ホワイトペーパーでは、ウィズ・アフターコロナ時代における中国消費市場のトレンドと方向性を分析し、経営戦略を調整する際のポイントについて解説しています。

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